フォカッチャは、私のベイキングの原点です。すべては一冊のレシピ本に載っていた、シンプルなフォカッチャから始まりました。
第一子の卒乳を終え、離乳食から大人と同じ食事へと移行した頃。ふと手に取ったオーブン料理のレシピ本をきっかけに、「もっと手料理の腕を磨きたい」「子どもにおいしいものを作ってあげたい」という思いが強くなっていきました。それまでも加工食品に頼りきりというわけではありませんでしたが、お惣菜や冷凍食品を手軽に選ぶこともあった日々。だからこそ、“自分の手で作るおいしさ”をちゃんと身につけたいと感じたのです。
そんな中で出会ったのが、フォカッチャのレシピでした。これが、私にとって初めて本格的に向き合った“ベイキング”でした。けれど、レシピ通りに作ったはずなのに大失敗。その悔しさが火をつけ、何度も何度も自宅でパンをこねては焼く日々が始まりました。次第にパン作りへの熱は高まり、ついにはパン教室へ通い、最終的にはパン屋で働くまでに。気がつけば、生活の中心に「ベイキング」があるようになっていました。
私は料理は“化学”だと思っています。特にオーブン料理は、オーブンに入れてから焼き上がり、ドアを開けるその瞬間までのドキドキとワクワクがたまりません。しっかり膨らんでいたら成功、思い通りにいかないことも何度もありました。それでも、その予測できない過程さえも含めて、いつも楽しみなのです。
これまでに、湯種法、オーバーナイト法、ポーリッシュ法、サワードウなど、さまざまな製法を試してきました。それぞれに魅力はありますが、今の私の暮らしにしっくりきているのは、生イーストやドライイーストを使ったシンプルなストレート法です。小さな子どもがいる毎日は想像以上に慌ただしく、パン作りにじっくり時間をかけられない日も多いもの。それでも無理なく続けられて、きちんとおいしく仕上がる――そんなバランスの良さが、今の私には心地よく感じられています。(ちなみに、ピザ生地だけはゆっくり発酵させるオーバーナイト法です。)
焼きたてのパンの香りがキッチンに広がる瞬間は、何度経験しても特別です。外はほんのりカリッと、中はふんわりもっちりとしたフォカッチャは、どんな食卓にも自然と馴染んでくれます。我が家では、シチューやスープの日の定番として登場することが多く、「今日はフォカッチャだよ」と声をかけると、子どもたちは目を輝かせて大喜び。気づけばあっという間に食べきってしまう、そんな存在です。
失敗から始まったフォカッチャ作りですが、今では家族の笑顔につながる、かけがえのない一品になりました。私にとってフォカッチャは、ただのパンではなく、ベイキングの楽しさと奥深さを教えてくれた大切な存在です。

フォカッチャ
使う道具
- パンこね台
- ミキサー
- 天板
- めん棒
- オーブンシート
- ボウル
材料
- カプート サッコロッソ タイプ00 強力粉 200 g
- スペルト小麦粉 100 g
- 全粒粉強力粉 50 g
- 生イースト 9 g
- てんさい糖 17 g
- 塩 4 g
- オリーブオイル 35 g
- 水 210 g
作り方
- 水、手でちぎった生イースト、てんさい糖、オリーブオイルをミキサーボウルに入れ混ぜる
- 生イーストが溶けたら強力粉全て、最後に塩を入れて捏ねる
- ボウルから生地がはがれつるんとしてきたら捏ねあがり
- ボウルに綴じ目を下にして入れ乾燥しないように濡れ布巾又はラップをかけ28度で60分発酵
- 生地を取り出しパンチをする(空気を抜き丸めなおし、綴じ目は下)
- ベンチタイム15分(その際も乾燥しないようにボウルをさかさまにしてかぶせておく)
- 成型する(生地の綴じ目は下のままでめん棒で丸くなるように伸ばしていく)
- 天板にオーブンシートを敷き、オリーブオイルをまんべんなく伸ばしておく
- 成型した生地をオーブンシートにのせ、乾かないように濡れ布巾又はラップをかぶせる
- 35度で30分~40分2次発酵
- オーブンを210度に設定しておく
- 2次発酵が終わった生地の表面にオリーブオイルを塗り指で穴をあけていく
- 塩を振り(分量外)お好みでローズマリーやミニトマトをのせる
- 210度のオーブンで15分加熱
- 焼けたらすぐにケーキクーラーにのせる
メモ
- 焼きあがったフォカッチャは天板にのせたままだと底に熱や蒸気がこもって「べちゃっ」とする
- 生イーストがなければドライイースト3.5gに置き換え可
- ミキサーがなければ手ごねも可。その場合こね時間が長くなる




